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魚沼のオヤカタ論。 ー一般社団法人 愛郷会編ー 

就職・転職を考える時、人は何を基準に「仕事」を探しているのでしょうか。

私事ですが、2度目の転職を考えている時、転職サイトにびっしりと刻まれた某会社社長の想いに興味を持ちました。
大きな会社ではなかったけど、社長の活きた声はしっかりと私の中に届き、この社長の下で働いてみたいと思ったことがきっかけで、その会社に転職を果たした過去があります。

『魚沼のオヤカタ論。』では、市内事業者のオヤカタの、仕事に対する姿勢や内に秘めた熱い想い、きれいごとだけではない現場の話などを伝えていきます。
私と同じように、この記事を読んでいるあなたの、就職、転職先を考える一助になることを願って。

一般社団法人 愛郷会 理事長 井上 基之氏

 

 

山菜共和国として独立宣言を果たしたこともある、旧入広瀬村。
村時代に建てられた、モダンなつくりの新潟県教職員互助会宿泊施設・ひめさゆり荘をそのまま活かし、小規模多機能型居宅介護と住宅型有料老人ホームが併設された「ふれあいの郷ひめさゆり」を運営する一般社団法人愛郷会の理事長 井上 基之氏に話を伺った。

 

「今日、夜勤明けなんですよね…」
と、さわやかな笑顔で語る井上理事長。

 

-理事長も夜勤をされるのですか?

入広瀬にはだいたい週2日ほど来ていて、職員が足りていない時には私もシフトに入りますが、新潟市からの物理的な距離は正直辛い時もあります()

 

-現在の状況をお聞かせください

厚生労働省がすすめる「生活困窮者自立支援事業」や「共生型サービス」の発展形を魚沼の地で実現したいと思い、現在魚沼市の関係各所と調整中です。

例えば生活困窮者の方に介護人材として活躍してもらうことで、慢性的な介護人材不足の解消に少しでも貢献できるのではないかと思います。
私自身、専門学校の教員でもあり、ノウハウを活かした相乗効果を見込んでいます。

施設の厨房や清掃を障がい者の就労支援の場としたり、地域にある空き家を活用してグループホームに転用する計画のほか、コロナ禍で今のところ実現できていませんが海外からの介護労働者の受け入れも視野に入れており、高齢者福祉・障害者福祉という従来型の福祉の枠にとらわれない、高齢者・障がい者・海外の方・移住者・地域の方々など多様なコミュニティが交わる場にしたいと考えています。

ひめさゆりを一つのプラットフォームとしてソーシャルアクション(より良い社会にするために制度や社会構造そのものへ働きかけること)を起こしたいですね。

従来型の福祉サービスは専門職間のつながりや営業・広告などを駆使して利用者やスタッフを集めるパターンが多いのですが、自然と人が集まってくる、集まりたくなるような場づくりを目指しています。

入広瀬という中山間地域における新たな取組は全国的にも注目されることもあり得ますし、そこから次の一手を考えることもできます。

「福祉のまちづくり」ではなく、「福祉でまちづくり」です。

施設内の調理場。生活困窮者や障がい者の方の就労支援の場にならないかと考えている。

 

 

 

-理事長就任の話が出た時はどう思われたのでしょうか

2020年の1月に前任の理事長から事業承継の話をいただきました。
私はこれまで社会福祉協議会、NPO法人の理事、教育委員会のスクールソーシャルワーカーなどさまざまなフィールドで働いてきました。

さまざまな経験をしていく中で制度を変えた方がいいのではないかという場面も多く、その手段として新潟県議選に出馬もしました。力及ばずの結果となりましたが、これもまた一つ大きな経験になりました。

事業を経営すること自体が、働く場を創り雇用を生み出すというシンプルな地域貢献につながると思っていたこともあり、事業承継のお話を受けして8月に全ての手続きを終えました。

 

―理事長に就任されて、施設内が変わったことはありますか

理事長交代の前後、職員は施設が無くなってしまうのではないかと心配していたようです。しかし、私がお願いして新たに理事にご就任いただいた方々は新潟でも有数の企業関係者ばかりで、そのお力添えもあって幸い経営は安定してきました。今では職員から楽しく仕事ができているという話を聞いています。
楽しく仕事をしていると新しい発想が生まれますよね。

例えばトイレ。
今まではオムツやおしりふきなど、利用者やそのご家族の方が目につくところにそのまま置いていたのですが、職員のアイデアによりDIYでカーテンを設置してくれました。小さなことかもしれませんが、利用者に配慮した素晴らしい工夫です。

タブレットPCの導入もそうですね。コロナ禍で面会が困難な遠方のご家族とのオンライン面会や、介護記録作成にも役立っています。

まだ体制が変わったばかりでもあり、給料を上げたわけではありませんが(苦笑)若いスタッフも入りました。
楽しい職場には、人が集まってきます。

職員と打ち合わせを行う井上理事長

 

-福祉系専門学校の講師もされているとの事でした

二足のわらじで福祉の世界を志す学生を教えているのですが、相乗効果の手応えを感じています。専門学校では先ほどお話ししたソーシャルアクションや社会福祉士になるための科目を教えています。自分自身に実践のフィールドがあることで、机上の空論ではなく実感をもって学生たちに教えられることは大きいです。
先日新聞やテレビでも報道されましたが、学生たちがコロナ禍の中で中断されている地域の茶の間(サロン活動)をオンラインで実施しようと動いて実現させました。学んだことをしっかり活かしてくれています。

遠方の施設利用者とオンラインで交流する学生

 

 

-介護の仕事の魅力を教えてください

介護というか、福祉の仕事は三方よしだと思っています。
一生懸命やればやるほど、良いサービスを提供すればするほど利用者が増え、職員の待遇も改善され、地域にとっても必要な社会資源となる。こんな素晴らしい仕事はないと思っています。

 

-3Kの仕事とも呼ばれていますが

皆さん、いずれ自分が介護されることになると考えていないのでしょうか。
介護が必要になった方を見捨てる社会で良いのでしょうか。違いますよね。
そもそも個人的には「お世話をする」という言葉もあまり好きではなく、利用者の方は偉大なる人生の先輩であり人権、尊厳を考えてほしい。
私は児童福祉・地域福祉・障害者福祉、そして高齢者福祉と幅広く福祉の仕事に携わってきましたが、介護は「人が生きること」に向き合う究極の仕事です。

この仕事が3Kだと言うならば、生きること自体が3Kだということになってしまうのではないでしょうか。

 

-大変なことを教えてください

シフト制で夜勤もあるのはやはり大変ですね。
当施設の規模だと夜勤は1名体制でも法律上問題はないのですが、何かあった時のために2名体制を取っています。
また、命に係わる仕事なのですが、近隣に医療機関が無いことも課題です。(一番近い救急指定病院が車で30分)

また、施設の利用者は生活上で何かしらの介助が必要な方々です。しかしながら、十把一絡げに対応するのではなく、残っている機能を維持しながら自立した生活に近づけるには、介助の方法を一人一人の方に合わせて行う必要があるため、利用者のことをしっかりと理解して知識やスキルを高めていく必要があります。

 

―どのような方に向いている仕事でしょうか

人が好きであれば、どのような方にも向いていると思います。
福祉分野はボーダーレスであることが私の理想です。
皆さんがイメージしている福祉とは違う景色がひめさゆりにはあります。

住み込みで働くこともできる

 

―これからのひめさゆりについてお聞かせください

当施設は救急指定病院から離れた立地にあるため、施設の一角を活用し、利用者だけでなく地域の方も利用できるオンライン診療の拠点にできないかと考えています。魚沼市と連携して新潟県が進めるローカル5Gの仕組みを導入するのも面白そうですよね。
コロナ禍の今、まさに必要であり進めるべき事柄かと思っています。

 

―ありがとうございました

 

インタビューを終えて、無くてはならない仕事にも関わらず、これまで介護の仕事を「大変」というくらいにしか思っていなかった自分が恥ずかしくなりました。

私と同じように「介護の仕事は大変そう」と思われている方も、井上理事長の想いや熱意を知り、楽しそうに話す利用者の方や積極的に働く職員の姿を見れば、介護の仕事のイメージが180度変わると思います。

三方よしの介護の仕事に興味を持たれた方は、ぜひ「ふれあいの郷ひめさゆり」までお問合せください。

 

会社情報

一般社団法人 愛郷会
〒946-0304新潟県魚沼市穴沢25番地
電話:025-798-4006
FAX:025-796-2720
E-mail:himesayuri@bz03.plala.or.jp
HP:http://ikyoukai.jp 

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