Interviewインタビュー

移住者インタビュー(小野塚英幸)

炭焼きは地球を救う!?
若き炭焼き職人の葛藤と幸せとは。

 

ー移住されたきっかけを教えてください

とにかく一次産業がしたかった。
森林再生がやりたくて、山に入れれば良かったんです。
大きい木を切ると、小さい木や切り株から生えてくる木が育っていくので、植林も必要ない。
地球温暖化が叫ばれる中、自分も何かしないといけないと。
僕一人でやったって自己満足で何も変わらないし、これでいいのかと悩む時もあるけど、こだわっています。
19歳の時から調理の道一本でしたが、調理師って美味しいものをひたすら目指すじゃないですか。
お金をかければ美味しいものがいくらでもできるし、目新しいものや真冬にすいかも手に入るけど、それってどうなの?って。
最終的には素材が美味しくないと美味しくないってことに気付いて、その場で採れたものを工夫して料理するおふくろの味が一番シンプルでベストだと思います。

 

なぜ炭焼きだったのでしょうか

調理の世界で炭に触れていて、炭に興味はあったけど、魚沼!白炭塾(市農林室が開催している炭焼きの体験講座)に参加するまではどうやって炭を焼いているのかわからなかったし、調べようもないまま10年が経っていました。
炭焼きは先細りの産業で、今の時代とはそぐわない仕事かもしれませんが、とりあえず、「自分は炭を焼く!」という心を持ってここまで来ました。
自分は変わり者って自負もあったので、自分がやらなきゃいけない使命感みたいなものもありました。
そんな固い意志を持っていざ来てみると、もう一人炭に携わる人がすでにいて、しかも家族持ちでした(笑)

 

ーきっかけは白炭塾だったのですね

きっかけとなった白炭塾に、今お手伝いとして携わっています。
白炭焼きをやりたいと言ってくれる人がいるのは嬉しいけど、自分ではまだあまり協力できてないって思います。
白炭塾は交流の場なんですよ。
色々あって沈みがちな時も、参加者の方と交流することでまた頑張ろうって思える。
継続的に参加されている方と会うと、続けようって思います。

 

ー実際炭焼きに携わってみていかがですか

1年間炭焼きをやってきて、今は魚沼市から伝統技能継承育成支援事業として補助金をもらっていますが、補助金ありきではなく、自分が作ったものを売って生計を立てたいです。
市内のレストランに行った時に、そのお店のマスターから炭焼きをやっているんだよねと声をかけられたことがあって、自分の話が思いもよらぬところから聞くと、びっくり半面今は嬉しいという気持ちの方が強いですね。
初めは「地球を救うため」って気持ちできましたけど、今はふがいない自分を受け入れて…
自分を救うためにやっています。

 

ー炭焼きによって小野塚さん自身の心が救われているのですか?

調理師として東京にも出ましたが、仕事の壁や何やらに打ちのめされて帰ってきました。
若い頃は特に人と外れていたと思います。
でも、ここに来て自分が炭焼きをすることによって興味を持ってもらえたり、話を聞きに来てくれたり、人と接するようになって人と出会うって良いことなんだなと思えるようになりました。
魚沼市というものに救われている部分もあります。
他にもいろいろな地域に行ったし、その時と感情が違うから一概には言えないけど、
そこにいる人たちに自分の心は救われています。
どうやったら思い悩まず生きていけるか、辛いことの多い世の中で、どう心を楽にできるかをずっと考えて行きついたのが感謝をすることでした。
嫌なことを人にされることがあったとして、その気持ちを持ったまままたその人に会うと、嫌な気持ちになりますよね。
そこでその人やその行為に対して感謝できることを探すと、心の底から自分の気持ちが楽になるんです。
現実は変えられないことが多いけど、自分の感情は自分自身で変えることができますから。

 

 

ー冬場は同じく伝統技能の紙すきをされてると伺っています

冬は福山を降りて、和紙漉きの工房に寝泊まりしています。
除雪組合に入っているので、月1~2回は福山に戻ってきますけどね。
紙漉きは、材料をこしらえることが大半の仕事で、準備ができたら紙すきを始めます。
炭焼きもそうなんですけど、やはり材料は自分で揃えないと。
切ることも炭焼きのウデの一つだと思ってます。

 

 

ーこれからはどんな活動をしていきたいですか

夏場に焼いた炭と、冬場に漉いた和紙を使って、消臭を兼ねた置物を道の駅に置いているのですが、
思った以上に売れ行きが良くて残りわずかです。
インターネットをしないので、売る場所は限られていますが、直接触れて、確認した上で購入してもらえるのが嬉しい。
自分のスタイルとか、想いをかってくれる人に出会えたら嬉しいですね。
長岡市出身ですが、今は魚沼市の方が詳しいです。
竹細工やわら細工も習いに行っているし、アケビのつる細工・スゲ笠も習いに行きたいと思っています。
人生の最終目標としては、福山に住んでいる人達みたいになりたいです!

 

 

ー移住される方に一言お願いします。

自分は魚沼に呼ばれたと思っています。
呼ばれる人が増えたら…

 

ーありがとうございました。

 

一見寡黙な小野塚さん。
ゆっくりと、でもしっかりと自身の今とこれからをお話しいただきました。
私も白炭塾に参加させていただきましたが、言葉で話す以上に大変な仕事です。
夢や想いだけでは食べていけない現実をわかっていてもなお、炭焼きを始めとする伝統工芸に魅せられた
小野塚さんの挑戦は続きます。

 

 

小野塚英幸(おのづかひでゆき)
新潟県長岡市出身。
調理専門学校を卒業後から
炭焼き職人になるまで、
一貫して調理の道を歩む。
最近発見したのは、ごはんに
サラダ油と醤油を垂らすと
卵かけご飯の味がすること。
魚沼に住んで1年半